ピー


ヤンゴンから約6時間ひたすら車を走らせてピーの町に着いた。着いたのが夜になったので、ホテルを探すことから始めた。何人かに尋ねてミンガラー ガーデンホテルにやっとたどり着いた。ガーデンホテルと名付けているだけあって、庭の造りは素晴らしかった。池の廻りを取り囲むように宿泊用の小さなコテージがあった。フロントでチェックインする時、玄関の脇に探していた桂化木のオブジェに気がついた。桂化木は木が桂化して化石化したもので、庭石やオブジェには素晴らしい素材だと前から思っていた。その立派さにただひたすら感動した。ホテルのマネージャーらしき人間に質問すると、いくらでも川の中にあらしい、ただ今は雨季で、川の水嵩が多く、取ることが出来ないとの事だった。乾季になれば川の中から、いくらでも採ることが出来るそうだ。宝の山を見つけたような気がした。シャワーを浴び、長旅の埃を取って街に出た。バコタに行く、ミャンマーではどの町でもパゴタが一番の観光名所だ。参道の売店を冷やかすが、パゴーで感動したような品物はなかった。ただ他の町ではあまり見かけなかった、刃物や鉄細工の売り物が多かったので、この辺は鉄の産業が盛んなのか聞いてみると、解らない、という返事だった、この国の人は余りそう言う事には興味が無いらしい。食事を終えてホテルに帰ると、地面が何か黒いもので、埋め尽くされ、しかもそれが動いてる。夕方、何かコウロギみたいなものが多いなとは思っていたが、それが電気の光に引かれて、集まって来たようだ。車から降りようとして足を踏み出すと、踏むまいとしても、足の踏み場がない。一歩、歩くごとに何匹かのコウロギを虐殺する事になってしまった。何処から入ったのか、部屋の中にも結構入っていて、蚊は覚悟していたけれど、コウロギに寝るのを邪魔されるなどとは、ベッドに入るまで考えが及ばなかった。この辺にはこれら昆虫の天敵になる爬虫類や、鳥はいないのだろうか、ふと思案した。もっともこのコウロギが大きくなると、食用になるそうで、それで大事にされて繁殖しすぎたのだろうか等と、余計な事を考え始めた。 朝早く目が覚めて、散歩をしてると、ホテルの人が、声を掛けてきた。昨日、あまりにも玄関の圭化木のオブジェが、素晴らしい、欲しいと連発したせいなのだろうか、大きいのは今無いが、小さいのだったら沢山在るから、好きなものを譲ってくれると申し出があった。正直言って嬉しかった。いくらかと聞くと、只でいいと言う返事だ。思わず小躍りするような気持ちで、置いてある場所に向った。山のように積んである圭化木を選びながら手に取ると、これが以外と重かった。何個でも、といわれたが、そのあまりの重さに2個だけを選んで頂く事にした。宝の山の中から、2つだけ選ぶのも、なかなか難しい。30分ほど悩みに悩んで、やっと2個を選んだ。彼らの親切に応えるためにも、今度この街に来る様なことがあったら絶対に、このホテルに泊まろうと決めた。
ミンガラガーデンホテルで見た見事な圭か木のオブジェ。
ミンガラガーデンホテル。
朝コウロギを食べている鶏。丸々太っていた。
ライトアップされたピーのパゴタ
そのパゴタから見たライトアップされた中腹の仏像。

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