モウラミャイン

 

 モウラミャインは、サンルイン河の岸辺に沿って発達した、南北に長い都市で、ミャンマーで3番面目の都市だということになっているが、繁華街はなく、遊興施設もほとんど見られなかった。町の東側に小高い山がありその山頂にはバコダが点在している。山頂の道路からサンルイン河を見渡すビューポイントは、この都市に住む人々の憩いの場ともなっている。海かとも見紛う、広大なサンルイン河に沈む夕日は、一見の価値がある。日が落ちて町並みが闇に溶け込み、やがて川沿いに広がるだろう夜景を想像していたが、残念ながらこの国の悲しい電気事情のせいか、100万ドルの夜景は拝めなかった。旅行者が期待する繁華街の喧騒もなく、ホテルに帰ってただ寝るだけでは、トイレを作り忘れた豪邸と同じで、人の営みに対して、何かが欠けているようで居心地が悪い。

 街の郊外に広がる果樹園や畑は、地味が豊富なせいか豊かに実っていた。市場は小さな市場が2つ、この地で取れた果物や農産物が豊富に売られていた。味もヤンゴンで売られているものよりは、当たり外れがなく甘みが豊富だった。産業はほとんど無い。産業と呼べるものは、中国の会社が経営する魚関係の会社が一つだけだった。それ故この街の生計は農業によって支えられていると考えられる。農業だけでこれだけの人間が生計を立てられるのだから、その生産量は相当なものになるはずだ。現在中国の資本により広範囲に渡ってゴムの植林が行われているらしい。その一部を見てきたが、木がまだ成長しておらず、ゴムの採集は行われていなかった。それでもこの広さのゴム園が軌道に乗れば、相当量のゴムが採取されると推測される。

この3枚の写真から街のロケーションは想像できると思う。停電が無ければ街明かりがこの山の眼下に煌々と輝いているはずだが、生憎停電で夜景を楽しむと言うわけには行かなかった。左の写真では解り難いが中央のやや右側に、ミャンマーで一番長いと言われる渡ってきた橋が写っている。この橋を渡るために、ゲートが開くまで2時間も待たされた。検問があるのでパスポートは持参しなければならない。バスで一緒になった役人が説明してくれたが、これは我々を調べるのではなく、保護するための手続きなのだそうだ。それも確かに一理ある。そう説明してくれた彼の目には、私が相当不機嫌な顔をしていたように写っていたのかもしれない。
正面に見えるのは物置小屋だが、車が見える右手には立派な家があった。ミャンマーの農園は家を取り囲むように農園を作っているようだ。林かと思われるような農園は、日本のみかん畑とか、ぶどう園しか見ていない私には奇異に写ったが、いろいろな植物を混在させる農方は、熱帯農林を管理する上で理にかなっている。彼らがブラジルのトメマスでの日系農民の失敗を知っているのかどうかは別にして、理にかなった農法をしていることに
妙に感心した。
 モウラミャインの瞑想センターは名所になっているそうで、外国から来て瞑想する人も数多くいるそうだ。私も瞑想を勧められたが、時間もないし、体の硬い私は座禅も組めない。丁重に断って、この近くに最近中国の資本でゴム園ができたと言うので、そこを見に行った。
 説明されたゴム園は敷地は広大だが、ゴム園はゴムの木が多い単なる雑木林にすぎなかった。映画で見たマレーシヤなどにある整然としたゴム園を想像していた私は呆気に取られてしまった。ヨーロッパ系の人種と中国系人種の考え方の差かもしれないが、樹液の採集はどうするのだろうと、変なところが気になってしまった。
  

  

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